diary




11.27

本業と副業で死にそうだ
労働の上での過去というものが蘇ってくるのは決して
心地のよい感覚ではない
私のかつてということがいかに無様でダサくて他人に迷惑をかけるような
幼稚なものだったかということを今更

まあいい 
そういうものはそういうものだ
誰かに理解されたいと 何かを判って貰いたいと
私はもう 決して思わない
そのことに耐えうるくらい私は
つまらない人間になったと思う


夜の酒場で 男の子が笑っていた
ほとんど会話も交わしていない、ほとんど何も知らないその子が
酔っ払って私の手を取った
もうちっとも覚えていない
彼の指、それがどんな風に私の無骨な手のひらに絡んでみせたのか
忘れてしまった
彼の名前が好きだと思った、彼自身を知る前に、その名前だけで私は
軽く微笑むことができた
そうしてそれはその程度のこと
覚えていない
手、そして指、
それ以外には何も 思い出せない

言葉のところはしばらく手をいれません
私はやっぱりまだ ワールドワイドウェブを使って表現するということを
信じていない古い人間なのだと思う
なんしか
ワードに打ち込んでいたほうがよっぽどいいというか
誰かに読んでもらいたいというしょぼい欲望に
他者の視線が介入してこないことに私は耐えられないので

わたしはわたしで勝負するよ
垂れ流しを許さない紙の領域へ入っていこうと思うよ



11.12

そうして 指は
甘い髪をかきわける
頬から耳にかけての水脈を的確にたどってみせる
首筋の その奥に凍っている冷たく悪しきこごりに向けて
そうして 指は
熱
ばねのような強靭さで 皮膚を その見ることのできない地図を
正しさのほうへ むしろ
あるべき場所へ導いて
そうして 指は
流れているものを流れるままに
叫ぶものの叫びを柔らかになだめ
熱
火と灰
おまえのちいさな声を 届けられることのない深夜の啜り泣きを
ここからどこへでも 和らげてみせるからと
深く強く きみの今夜の痛ましい魂のほうへ
風と音楽の吹きだまる 晩夏のぬるい空気に抵抗して
柔らかな 塊 
熱
うつぶせになって目を閉じて 
そう 痛むの苦しむのもうイヤなの そんなことは もうないの
表面と深奥の見えることのない連鎖に飲まれて
そこに君がいるかどうかなんて考えもしないで
だからそう もう君はいなくて
そうして 指は
再び伸ばされる どうしようもない疲労のほうへ
地上の砂に向けて
乾ききった涙のほうへ




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これ さあ なんにも言わんかったら
ちょっと思わせぶりな感じよね
なんつかこう 色恋沙汰とかさ 
どうしようもない疲労の共有不可能性とかさ
それっぽいなあ

実は
整体に行って感動しただけなんやけどね

ああ気持ちよかった


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途轍もない勢いですべてが終わっていった
この「終わりの感触」というものに私は
未だに慣れることができないでいるのだけれど
本当のことを言えば
「私は詩人ではない」って これはパクリ
本当のことを言えば

彼女が死んだ時点ですべてが終わっていた

そのことを私は最近になってようやく気付いたし
この確信は当分の間続くと思う
彼女は私の「世界の底」だったし「世界のタガ」だった
だから現在すべてのことにおいてまったくリアリティがない
それは「どうでもいい」という投げやりさとは少し位相が違うのだが
彼女の死に比べれば何もかもどうでもいいけれど
その「どうでもよさ」は私にとって「すべては等価である」という新しい認識を
生み出した
「すべてが等価である」のならば
最高とか最悪とかいう価値基準は私の判断ひとつだ
だから私は
「なにもかもが等しく素晴らしい」と思っている
裏返せば
「なにひとつ語るに値しない」ということなのだが
とりあえず毎日小刻みに生きている感覚の流れの中で
痛みでさえも快楽に似ているのだと どうせそんなもんだと
だってもう私にはなにひとつ重要なものなどないのだから
毎日がもう悪夢的に楽しいです



10.29

倉田比羽子の作品は
店頭で(版組がわりといいなあ)と思って
その他の情報をまったく入手していない所で買ったのだったが
朔太郎賞?だったっけ?の
最終候補に選ばれていたらしいのは知らなかった
読んでみて
薄っぺらかった
なんだろうこの感じ
途中でやめてしまった
再読する意志だけはあるので ここからまた始まるのかもしれないのだが
ものすごく思ったのは
私の書いていることもおそらくこのようなものかもしれない
ということ
「なにかがたりない」と言われ続けた自分のこと

なにかを伝えたい みたいなことを
ほとんど信じていない人間のできることって何かしら
そんな奴は沈黙してしまえというのが当然の態度だと思われるが
形態 ということに耽溺するのが
ある種の態度でもあるのかもしれない と
私は思っていたのだった

おまえがこれまでいかに生きてきたかなんてだれも興味ないよ
言葉ということにこだわり続ける一部の人間の感性に訴えるというのはアリか
インターネットって本当になんちゅうかこう
検閲が存在しないというのは究極の不自由だと思うのだがどうか



などなど

傷とか痛みとか
語り始めたらきりがないやんねえ
本当の声 みたいなものも私はほとんど信じていない
もう少し胡乱な回路を通じなければそれは表現として確立しないし
そこに関しては徹底したいというのが私の欲望だったりする

ほんましょうもないけどね





10.24


あのさ
「せんせえあのね」レベルの話なんやけどさ
またやね
聞き流してもらいたい

男の子が結婚する
とてもかわいくてやさしくて私のいい子だった
そうして私は彼を裏切った ひどい方法で
そのときわたしたちは約束をしたんだ
30歳まで一人だったら結婚しようって
バカバカしいでしょ 笑っていいよ
でも 真摯な願いだったんだ 少なくとも 私の中ではね


私が とても暑い 海の近い場所に移って
男の子は とても寒い 海の近い場所へ移った
その前に私は とても頭が悪かった 
ひどいことをした

とにかく わたしにとって生きることは美しくなかった
誰も彼も潰れてしまえ なあんて思っていた頃だ

バカだよそんなもん

わたしたち 必死で生きた
自分が醜くなってゆくのも理解してそれでも
わたしたちは生きた めちゃくちゃだったと思う
 
でも 彼が あの男の子が 
大人になっていて 
ということはすごくカッコ悪くて
私は彼とまた出会ってしまった
大人になることがカッコ悪いのは許せるし気持ちがいいし素敵だ
一瞬だけね

つまり
とっても素敵だった男の子が翳って見えてしまったということ
その子が私なんて目もくれずに幸福になろうとしていること
まあ そういうことやな
たとえ翳りが見えてしまおうが
誰かと幸福になりたいし なってみたいよね一回くらい
と思うのは 
私が年食ったせいかしらね


 





10.23

嘘みたいなことでいい
嘘ばっかりついていたい
だって結局南極この世界は
嘘みたいなことばっかりなんだし

本当のことを 本物のことを
語り続けていたい人々の物言いにまみれて
そんなんで食っていけるんか つか 私は失敗したよ非常に無残に
と思った
しょうもないロマンティシズムに耽溺して
過去の栄光から逃れられない人間を私は
激しく憎んだ


自分がどうなりたいのかということに忠実でいろ と言ったあの人が
私を廃棄してゆく
みずからの欲望に忠実であれと述べたあの人が
私を粗雑なものにする
そういうことだったのか と思う
どいつもこいつも死んでしまえ という無責任な欲望も支持されない

いやそうじゃなくて
私が言いたかったのはそういうことじゃなくて

誰一人幸福でないこの世界というのはどういうことだ
なにをごまかしているのかあなたたちは
ああもう今日はひどく具合が悪い
羊の肉を食べたよ
身体だけ愛されるのもアリかなあと思ったよ
植物園を眺めたよ
暇なときだけ体よく扱われるのなんてまっぴらだと思ったよ
カッコイイスニーカーを買ったよ
明日それはいて仕事に行くんだ
言葉のために力を尽くしたいのに どんどん言葉が干上がっていくよ
それは食べていく金を稼ぐためだよ
おかしいよね 笑えばいいと思う思いっきり
何か意味のある行いをしている と 信じている人たちは
とても無残だ
そうしてそれが 生きるということだと
私は確信した
どいつもこいつもみんな死んでしまえばいい




9.25


のんべんだらり あるいは 極度の緊張状態 
それは相反する事態ではないのか と 思っているあなた 甘いです
人間は常に論理からはみ出す行動をいかに論理化するかというところで
頭を使ってきたのだと私は考えました今さっき
まあいいや
気がついたら1ヵ月も触っていなかった
もう 粉砕しようかと思いながら 10日にいっぺんくらい眺めていたよ
heavenly-laneの朝倉さんからもらったバトンを 遅まきながら一挙公開
もう誰にも回しませんよ
なんか困ってるっぽいし テキトーに処分されてしまえと思う



*持っている本の冊数

 数えたことがないし数える気もないので却下
 引越しの際に三分の一減らしたのがクロネ○ヤマ○の中型のダンボールに
 10箱以上あったと思うので その辺でテキトウに推し量ってもらいたい

 
*今読みかけの本 or 読もうと思っている本 

 最近集中力が続かなくなって 一冊の書物を完全に読み終えるということが
 出来なくなった
 少しづつ手を出しては中断する日々 ということで 今読んでいるのは

 「幼少時代」谷崎潤一郎
 「マルテの手記」リルケ
 「エマ」ジェーン・オースティン
 「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」(再読)橋本治
 「一つの砂漠の物語」
 「世界の名著 レーニン」
 

*最後に買った本(既読、未読問わず)

 「真性活字中毒者読本―版面考証/活字書体史遊覧」
  (小宮山博史/府川充男/小池和夫)柏書房

 「二〇世紀の虫〈解読不可能なもの〉について」
  (瀬尾育生/五柳書房)

 「世界の優しい無関心」
  (倉田比羽子/思潮社)


 
*特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)

 これ キツイなあ


 「ラホールの副領事」マルグリット・デュラス
 
 彼女の著作は「無条件に愛している」と言えない
 が しかし 最後に棺桶に持って入るのは彼女のものだろうとも思う
 今現在イチバン「読みきれない」のがこの書物で
 私は 何回読んでも何か取りこぼしてしまっているような不安がある書物
 というのがわりと好きで
 判ってしまうことなんて
 正しく美しいことなんて
 大したことではないんじゃないの ってさ
 どこかで思っているので
 永遠に読み続けてしまいたい


「詩篇アマータイム」

たぶんもう10回以上読んでいる 耽溺している
そうしてここから脱しようとしている それができなくて難儀している
ある人は「悪意と暴力と不機嫌の詩だ」と述べたのだが
私にはどうしても信じられない
全編に満ちている「愛」の意識
詩人の彼は 小部数発行のこの書物を何とかして手に入れたいと願う人々から
幾度も連絡を貰ったということだが
一冊は自分のために 一冊は妻のために 一冊は娘のために
その三冊しか手元にはない、帰ってくれたまえ と述べたそうだ
美しすぎる
現代詩はこの人の「ために」存続しているのだと思いたい メチャクチャだが


「柔らかい土をふんで、」金井美恵子

私はあらゆることに関してオクテで
その「あらゆること」を知った瞬間にのめり込むという
なんつか バカの一つ覚え? みたいなところがかなりあるのだが
彼女の著作を読み始めたのはわりと遅かったはずだ
現在生きている女性の小説家 という限定のなかで軽く絶望していた私を
救ってくれたのが金井美恵子だったと思う
そのなかでも”メディアと記憶”ということに徹底的に意識的であり
さらに小説というジャンルに対してとんでもない挑戦を仕掛けているのが
この作品だと私は思っている


「襞」G・ドゥルーズ 

ドゥルーズとか言うと(このオシャレ現代思想オタクめ)と思われるのが関の山
なので
ヤな感じ なのだが
私はこの書物を読むことによって
F.トリュフォーの「アベルの恋の物語」
あるいは自らの偏執狂的な細部への耽溺について
ようやく何らかの言葉を獲得したと思ったのだった
それはとても 心地のよい感覚だった そして 心地良さというものが
私の生において全く否定されるべきものではないと確信されたのだった
おそらくたぶん


「」

最後の一冊は
すべてのむくわれなかった作家と詩人たちの
血反吐を吐くような深夜の走り書きに捧げる

 
 
*次にまわす人5人まで 

もう迷惑はかけないし 友達がいないと宣言することはとてもみっともない




8.22

heavenly-laneの朝倉さんから
3つもバトンをいただいており こんなに誰も見ていない辺境の地に
あんな流行のものを回していただいたことにちょっとじーんとした
んで回答してみる

*Total volume of music files on my computer
 (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量)

入ってないと思われる
だってうちワードとネットしかパソコン使ってないよ…

 
*Song playing right now (今聞いている曲)

さっき電車の中でボ・ガンボスを聞かされた
「サカナじゃないとやってられないよ」っつーやつ
ほんまやなあと思った
 
*The last CD I bought (最後に買ったCD)

仕事帰りに狂ったようにCDを買う という悪癖があって
この前まとめ買いした奴

Rufus Wainwright "POSES" 
Jamiroquai "dynamite"
Beck "guero"
Tommy Guerrero "A LITTLE BIT OF SOMETHIN'"
CAESARS "PAPER TIGERS"

CEASARSは(早まった…)と思った


*Five songs (tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me
 (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)

Miles Davis ”Kind of Blue”(アルバム)
たぶん生まれて初めて自分の金で買ったCD。

Glenn Gould ”バッハ ゴールドベルグ変奏曲”(アルバム)
たぶん生まれて初めて鳥肌が立ったクラシック。

Wondermints ”OOH CHILD”
オリジナルはFive Stairstepsなんだけど、このカバー・バージョンで
未だに瞬時に号泣できる。

Radiohead ”KID A”(アルバム)
入院していたときに20枚くらいCD持って行ったにもかかわらず
こればっかり聞いていた てか これしか聞けなかった。

ANATAKIKOU ”リリー”
いい曲なんだよ…
 
*Five people to whom I'm passing the baton (バトンを渡す5人)
友達いないんで…
見てたら書いてください
媒体ない人は掲示板とかメールとかオッケーですかも

指川さん 
渡部さん
53さん
ヤスヒラさん
びいさん

ごめんほんま人のこと考えてない…



この世で一番愛していた人が死んだ
一番、というよりもひとりだけだった、と言う方が正確かもしれない
通夜の晩 死体の傍らで ひとりで呑んでいた
二日前には息をしていたのだ
私がメシを食わせたのだ
ちっとも泣けなかった 今でもよく判っていない
がりがりに痩せた薄い皮膚の上からは悪い腫瘍が見えている
全身に転移したそれを 人々は「花が咲いた」と言っていた
そんなに美しいものであってよいはずがない と私は今でも思う
彼女がいない世界なんて想像もつかない、その想像を超えた世界で私は
何事もなく生きている そんな簡単な事実が許せないような気がする

葬式はまるで壊れたベルトコンベアーのように
滞りながらも機械的に進んでいった

本当に悲しむことなんてもう 人間には不可能だと思う

光線のきつい昼間
死体(存在論的暗渠の現前、と丹生谷貴志は言ったのだが…)を
焼き場に届けた直後 2メートル先が見えないほどの
とんでもない大雨が降り始めた
「おばあちゃんが 泣いている」とみんなが言った
こんな不幸な生を誰もが許せないと思い そして誰も手出しができなかった
私たちは完璧に無力だった
最悪だ
もう笑うしかない
そうしてこうやって 見てみぬ振りをして 何かが忌まわしく増幅してゆく
血が濁ってゆく
もう痛みなんて感じない 誰も 誰もだ

「ぽっかりと穴が開いたような」というレトリックは嘘だと思う
そこには「欠如」という名前の重すぎる過剰さが付け加わるということだ

身体が重い










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